■『ルート225』=15の2乗
『ルート225』は志村貴子さん初の原作付きコミックです。藤野千夜さんの同名小説をコミカライズした作品なのですが、全く違和感がありません。志村貴子さんの作品としても素晴らしいですし、原作の雰囲気もよく出ています。
エリとダイゴの姉弟が主人公です。少し心配性の母親の言いつけで、エリは帰りの遅くなったダイゴを渋々迎えに行きます。公園のブランコでたそがれている弟を見つけたエリは、不機嫌に家へと戻ります。ところが、住み慣れた町の歩き慣れた道なのに、いつまで経っても家へと帰れません。
すると、突然に海。幼い頃から暮らした町に、海はありません。でも、海を見つけてしまったのです。しかも、そこには数年前に亡くなった少女の姿もあります。奇妙な感覚を捨て去れないまま二人がたどり着いた自宅は、あらゆるものがズレた世界だったのです。
死んだはずの少女が生きており。疎遠になったはずの友人が親友であり。口はうるさいけれど、仲の良かった両親はおらず。何もかもが少しずつ違った世界なのです。エリとダイゴは果たして元の世界に帰りつくことができるのでしょうか。
■クチの話
 ルート225 : 志村貴子
話は変わるんですが、今回の作品では妙に口が目に付きました。口の形がキャラクターの性格や思っていることをよく表現していると思うんです。例えば、上は久しぶりに再開した、死んだはずの少女です。ちょっとしたからかいという状況が、半円形の口によく表れています。
 ルート225 : 志村貴子
こちらは、ダイゴ。姉であるエリは少しだけ無神経なところのある少女です。いつも通りのエリの軽口にムッとしたダイゴが怒っています。横開きにした口と並んだ歯が、凶暴性というか攻撃性のようなものを表現しています。それがダイゴの怒りを象徴しているように思えます。
 ルート225 : 志村貴子
最後は、消えてしまった母親の笑顔です。マンガはもちろん絵なので静止しています。ただ、同時にマンガとは静止している絵と動いているかのように描くジャンルでもあります。しかし、↑のコマにおいては、母親の笑顔が驚くほどに固定していて、まるで動いていません。必要以上に静止しています。絵としては当然、マンガとしては不自然な静止が、奇妙な違和感を演出しています。
■コトワザ
古いコトワザに「目は口ほどにモノを言う」というのがあります。
マンガにおいては「口の形は目ほどにモノを言う」という気がします。
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