『西洋骨董洋菓子店』がアニメ化するということで、よしながふみ作品を読み返していた。よしながふみの作品は、不思議なくらいにすんなり読める。絵が分かりやすいということや、物語の構成や演出がものすごく上手いということもある。
でも、それだけじゃない。なんだろう、なんだろうと思っていたのだけど、『フラワーオブライフ』を読んで、理解した。理解というか、納得である。俺以外の人間が納得するかどうかは知らないし、作者本人が認めるかどうかも知らない。でも、まあ、いいから聞きなさい。
よしながふみの作品に出てくるキャラクターは、全員女性なのである。設定上はチンコがついていたり、ついていなかったりするのだけど、その本質はみな女性である。より正確にいえば、よしながふみの作品には男性が一切描かれない。だから、読みやすいのだ。
 フラワー・オブ・ライフ:よしながふみ
『フラワーオブライフ』の主人公。金髪で長身で、イケメン。白血病で死に掛けたけど、骨髄を移植して、なんとか生きていけるようになった男。名前は春太郎っていう。そんで、そいつが姉貴に作ってもらった弁当に文句言ってるところ。
一応は普通の男子高校生って設定。で、普通の男子高校生は弁当に「色目が悪い」なんて文句は、絶対につけない。断言する。そもそも、弁当の中身を詳細に見るなんてことはありえない。だいたいトンカツ見た段階で、「ラッキー」と思って終了である。
 フラワー・オブ・ライフ:よしながふみ
こっちは、もう一人の主人公というか脇役というか、友人。平日昼間の教室で、でっかい声でアニメの話をしてしまう。嫌なオタクの典型みたいな男である。名前は真島。メガネを外すと、突如として美景になるというお約束キャラでもある。
そいつがコミケに行って、戦利品の同人誌を電車で読んでるとこなんだが。ていうか、電車で同人広げるヤツが結構いて、リアルに嫌だから困る。真島は少女小説原作の百合本を読んで、「こんなカップリングを書いてるヤツの気が知れん」などと文句つけてる。重ねて書くと、カップリングに文句つける男なんて見たことない。
しかし、なんで春太郎が弁当を詳細に観察しているのだろうか。それは作者であるよしながふみが料理に異常な執着を見出す女だからである。そして、真島がカップリングに独特な文句をつけているのは、よしながふみがボーイズラブの人だからである。ようするに、どっちのキャラもよしながふみの明確な分身なのである。
よしながふみ作品に女性しか登場しない、というのは、こういうことである。まず、女性キャラは当然に女性である。設定上も女性なのだから、これについては議論の余地がない。そして、男性キャラもまた女性である。何故なら、それは女性であるよしながふみの分身だからだ。
例えば、『ToLoveる』に登場するキャラクターは、全員が男性である。男性キャラは男性として描かれているし、女性キャラも男性の欲望に忠実に描かれているからだ。そして、だからこそ、『ToLoveる』は読みやすい。作品全体が男性原理を中心に動いているため、非常に分かりやすいからだ。
これと同じで、よしながふみの作品には、女性のみが登場する。だから、作品全体が女性原理で動くのである。そこに使われている原理は違うものの、その方向性は同じなのである。たった一つの原理によって作品を読めるのだから、当然に読みやすいのだ。
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