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■2008/04/24(木) 共通する二つのポイントと異なっている一つの点 『ADAMAS』 このエントリーを含むはてなブックマーク

ADAMAS 1 (1) (イブニングKC)


 皆川亮二先生の新作が発売されました。ウルトラジャンプだけでなく、イブニングでも連載してたなんて、全然知らなかったです。元々はサンデーで『スプリガン』の連載をしてた方です。ということは、小学館に集英社と講談社。大手三社全てで連載した作家、ということになりますね。

 『ADAMAS』には、皆川亮二作品に共通するポイントが二つ。これまでになかった点が一つありますね。

 共通するポイントの一つは、主人公が冴えない人間を演じている点。皆川亮二作品の主人公は、みんな、ちょっと情けないです。例えば、『スプリガン』の御神苗優は超一級のエージェント。OO7みたいな潜入工作と戦闘能力を持ち合わせています。ところが、普段は日本の高校に通っていて、そこではオチャラケタ学生なのです。

 『D−LIVE』の主人公、斑鳩悟はどんな乗り物でも乗りこなせるスーパードライバーです。バイクや自動車、スノーモービルに重機までエンジンのついているものなら、あらゆるものは彼の手足になります。そんな彼も、やはり一介の高校生で、教室では貧乏で情けないクラスメイトとして扱われています。

 今作『ADAMAS』の主人公、流崎麗華も例外ではありません。彼女は石と会話をする特殊な能力があります。その能力によってゴリラ並みの怪力や読心術、催眠まがいのマインドコントロールからGPS要らずの探索能力まであります。しかし、一方で、彼女は生活費をアルバイトで稼がなければいけない、しがないOLなのです。職場では、宝石を見るのが上手い女の子、という感じなのです。

 共通するポイントの二つ目は、超自然的な力を身に付けている点です。上にも挙げた通り、皆川亮二作品の主人公は特殊な能力を身に付けていることが多いです。しかも、その能力はしばしば周囲の道具や自然と一体化し、力を借りるという形を取ります。

 『スプリガン』の御神苗優は上述したように、超一級のエージェントです。ただし、終盤では武器や防具に頼るのではなく、自らを周囲の自然と一体化する格闘術をも身に付けます。そして、それこそが本来の彼の持ち味だ、と称されるのです。

 『D−LIVE』の斑鳩悟の能力も同じです。彼は超絶的な運転技術を持っていますが、それは乗り物が彼に力を貸してくれるからこそできるのです。乗り物の意思というものが明示されるシーンはないのですが、彼が一体化する場面は作品の決め台詞にもなっていました。

 そして、『ADAMAS』の流崎麗華の能力も、石と心を通わせて、その力を引き出すことです。これまでは明示的に描かれることのなかったモノの意思が、今作でははっきりと描かれています。彼女は石と一体化することによってのみ、その力を発揮するのです。

 最後に、これまでの作品と違う点です。それは『ADAMAS』の主人公が、女性であることです。皆川亮二の作品は主要なもので六つ挙げられます。この中で女性が主人公になったのは、今作が初めてなのです。

 まず、『スプリガン』で登場する主要な女性キャラは染井芳乃とティア・フラットの二人だけでした。二人とも物語の核心にいるキャラクターでしたが、ほとんど出番がありませんでした。『ARMS』では久留間恵とユーゴーという二人の女性キャラが主人公格として登場します。

 『D−LIVE』においては、主人公をサポートするキャラという位置づけで清水初音、烏丸理香、亜取アキラの三人がしばしば物語に登場してきました。現在ウルトラジャンプで連載中の『ピースメーカー』では、幼い少女、ニコラが登場します。彼女は物語の重要な役目を持っており、主人公と共に旅を続けています。

 そして、今作『ADAMAS』では、ついに女性が主人公になったのです。こうして見ると、女性キャラクターが皆川亮二作品で存在感を増してきているのが分かります。当初はヒロインすら不在だった状態から、副主人公、そして、主人公です。

 『ADAMAS』は相変わらずの皆川亮二節でありながら、同時に変化する側面も持っています。『ピースメーカー』と共に、今後が期待できる一作です。
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