『まちまち』2巻の表現が独特だったので、それについて書きます。
 まちまち : かがみふみを
『まちまち』というのは、かがみふみをさんがコミックハイで連載されていた、恋愛マンガです。自分の背が小さいことにコンプレックスを持つ少年と好きな人よりも背が高いことにコンプレックスを持つ少女の恋模様を描いた作品です。一歩進んで二歩下がる、三歩戻って五歩前進みたいな、初々しい二人が主人公の、超正統派ラブストーリーです。
で、上の画像です。とても特殊な描き方です。もうすぐ、テストだね。俺の家で勉強会でもしちゃいませんか。そういう流れだったのですが、偶然にも両親は不在。年頃の少年少女、恋人同士で、互いが好きで好きでたまらない。当然ながら、色々と過ちも起きようというものです。というシーン。
右の列の三つのコマが、少年の動きを表していることは明白です。一番上のコマでは、少年と少女の目線が合っています。二コマ目では、少年の目線が下に向けられます。震える手が制服のボタンに触れようとしている三コマ目から、二コマ目は少年が少女の顔から制服に目を向けた描写であることが分かります。
ところが、左の列に並んだ少女のコマは、右の列ほど分かりやすくありません。一番上のコマは、少年と見つめあっている少女の顔です。突然のことに、驚きを隠せない様子です。ところが、ここでコマが左側と中央とで分かれてしまいます。
左側のコマでは、少女が泣きそうな顔をしてうつむき、ついで何かを覚悟するかのように目を閉じる様子が描かれます。中央のコマでは、何かに気づいたかのように、口を開けて目を見開いています。これらのコマは、一体どう読んでいいのか、少し戸惑うところがあります。
よくよく見ると、全部で七つあるコマの中で、左下の二つだけは髪の毛がトーン処理されていることが分かります。ここだけが色違いということは、そこに何らかの意味があるということです。また、左上のコマと左下の二コマは、どうも流れが不自然です。
これらのことを考え合わせてみると、どうやら左下の二コマは少女の内面の描写。少女の心理を顔で表現しているらしいのです。つまり、中央の驚きに満ちた少女が現実であり、左下の二コマが同時に心で思っていることなのです。
かがみふみをさんは心理描写に長けた作家さんではありますが、その表現は非常にスタンダードだと感じていました。今回、予想外に技巧的な表現が見られたのは、驚きでした。良い意味で、裏切られた気分です。伸び代というか、今後の活躍をますます期待してしまいます。
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