『アイシールド21』は会話がかみ合っているのが面白いですね。あれは本来ならかみ合っていないはずなんですが、かみ合っているように見せてます。その技量というかテクニック、もっといえば、作者の意思に感動します。
■何故か噛み合っている会話
まず、日常のシーンがあります。ここで会話がかみ合うのは当然ですね。例えば、学校の教室や部室、休憩中のベンチで会話がかみ合うのは当たり前ですね。だって、そこではキャラ同士が対面しているんですから、普通に話ができるはずです。
ところが、『アイシールド21』では、試合中も会話が通じています。フィールドからベンチ、客席から遠い地方や海外の選手のつぶやきが、会話として成り立っている時があります。あたかも、互いの声が聞こえているかのように、つながっているのです。
いえ、本当は会話はつながっていません。会話が成り立っているように見せているだけなんです。一人一人に単語や台詞があてがわれていて、それをつなげて見ると、会話として成立しているように見える。そういう風に作っているんですね。
■時間と空間を越えて、接続されるキャラクター
マンガというのは便利な媒体です。時間や場所を気にせず、余計な背景まで省いてしまって、キャラだけをコマでつないでみせることができます。これによって、自然に言葉がつながっているように見せかけることができるのです。
この手法のメリットは、話を進めるのが非常に楽になるということです。フィールド内では分からないこと、それまでに破ってきた選手の言葉を解説として、ごく自然に物語の展開に組み込むことができます。バトルものにありがちな解説者という存在がいらなくなる上、歴代の強者から直接に語られることで迫力が増します。
逆に、デメリットもあります。それはあまりにも自然に会話を成立させてしまうと、全てのキャラクターが全ての状況と考えていることを把握しているように見えてしまうことです。そうなると、何もかもが予定調和のように見えてしまうんですね。
マンガに限らず、創作というのは全て作り物です。フィクションです。ニセモノであることが明白であるからこそ、それを読者に思い出させてはいけないんですね。「これはフィクションだから」と冷静に理解した瞬間に、その作品の面白さはなくなるといっていいです。
■『アイシールド21』の意志
『アイシールド21』の場合は、台詞を完全につなげない。個々人のつぶやきとして判断することも不可能ではない、絶妙な加減で言葉が作られています。つまり、原作者の力量一つに全てが乗っかっている構造なんです。その、技術一つでやってのけようって意志がすごいんですよね。
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