 亀の鳴く声:西炯子
本日もマンガのコマのお話です。わざと誤解させるように絵を描いて、読者の気持ちをコントロールするやり方について、です。サンプルには、西炯子さんの『亀の鳴く声』を使わせてもらいます。何故かというと、好きだから。
ちなみに、『亀の鳴く声』はサラリーマンと女子高生の恋愛ものです。片田舎で役所に勤め、趣味で少女マンガを書き続けるサラリーマン。その少女マンガを読んだ女子高生は感動し、ムリヤリに彼を東京へと連れて行きます。彼と彼女の仲はじょじょに近づいていくのですが、はたして。まあ、そんなお話です。
さて、本題に入りましょう。上の二人は互いに背を向けているように見えます。相手の顔も見ず、明後日の方向を向いたまま喋っているように見えます。それくらいにこじれて、険悪な仲になっているように見えますよね。
でも、違うんです。実は、この二人、向き合っています。顔と顔を突き合わせ、表情を見ながら喋っているんです。どうして分かるのかというと、このコマの前のシーンでは、二人が向かい合っているからです。立ち位置としては、お互い正面にいるんですね。
顔の描かれている位置がポイントなんですよ。右端に左向きの男性の顔があって、左端に右向きの女性の顔があったら、向かい合っているように見えます。それと同じ場面を描くのに、左端に左向きの、右端に右向きの顔を配置すると、顔も見たくないって感じになるわけです。
同じ状況でも、描き方を変えると、全然違う効果が生まれる。これはマンガに限らず、映像媒体には比較的使えるマジックなんですよね。
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