
おっとりしていて、優しく、時に怖い長女。元気で明るく、馬鹿な次女。クールで甘えん坊、慇懃無礼な三女。この南家三姉妹が学校に通ったり、家でご飯を食べたり、遊んだりするところを描いたマンガ。それが『みなみけ』である。
解説だけ読むと、ほのぼの・癒し系のマンガのようにも思えるが、実際は違う。どちらかというと、微妙にシュールなネタの織り込まれたギャグである。可愛いキャラがシュールなネタを披露するギャグマンガ・『苺ましまろ』に近いものがある。
例えば、次女のカナがクラスメイトの藤岡からラブレターをもらう、というエピソードがある。カナは1ページほど舞い上がった後、妹に「果たし状だ」と入れ知恵され、信じ込む。そして、サッカー部のホープである藤岡の左足にケリをぶちかまし、「軸足が動かなければ、黄金の右足は使えまい」と勝ち誇る。
この話など、絵を描いているのが漫☆画太郎だったら、立派なギャグマンガである。いや、うすた京介でもしりあがり寿でも、結構しっくり来るに違いない。『みなみけ』というマンガは、たまたま桜場コハルの絵が可愛かったらそうは見えないだけで、内実は秀逸なネタのこめられたギャグマンガなのである。
さて、マンガ界というか物語界には三姉妹という設定がしばしば登場する。例えば、ギリシア神話には見詰め合ったものを石に変えてしまうゴルゴン三姉妹が登場するし、北欧神話には時間を司る三姉妹が登場する。日本神話にも、宗像三女神という海の神がいるらしい。
こういう書き方もなんだが、三姉妹というのは、なんとはなしに神秘的なのである。オタク的観点からしても、、三姉妹というのは独特の魅力がある。眼鏡やスク水という属性に惹かれるように、三姉妹というのは単語自体に色気がある。
三姉妹の登場するマンガというと、個人的には『らんま1/2』のイメージは強い。これは水をかけると女になってしまう青年・乱馬と意地っ張りで少し乱暴な女の子・あかねがくっついたり離れたりする、ラブコメマンガである。
あかねには二人の姉がいる。長女かすみはおっとりとして料理の上手な、一家の母的存在。次女のなびきは何よりもお金が好きという、ドケチな性格である。そして、三女あかねは上に書いたように、素直になれず、やや乱暴な少女である。
同じ三姉妹といっても、『みなみけ』と『らんま1/2』では、当然ながらずいぶん性格が違う。ただ、不思議なことに、長女がおしとやかという設定だけは両作品に共通している。三姉妹の長女は穏やかというのは、セオリーと言っていいのかもしれない。
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